三重大学の1万人が省エネの主役!仕掛人は2児の母

2018年10月17日
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中川朝子 さん / ASAKO NAKAGAWA

国立大学法人三重大学(津市)
施設部施設管理チーム 係長
業種:教育・研究

PROFILE

2013年に三重大学へ就職し、現在は施設部施設管理チーム係長。三重大学医学部附属病院ゲストハウス『ハーモニーハウス』の設計監理や、大学独自の取組『三重大学省エネ積立金制度』の発案と導入を手がける。取得資格は、設備設計一級建築士・第3種電気主任技術者など。大学では文学を専攻し、卒業後に建築専門学校で学び直した。結婚を機に三重県へ。第1子の育休中に一級建築士を取得。2人の息子は現在小学生。

私の使命

設備設計の資格を武器に三重大学を守る

「東京の設計事務所で、資格取得が求められたので」と大型建築物の電気設備設計に必要な資格を取得した中川さん。それらの資格を活かし、2012年に三重大学に転職しました。転職して最初に手がけたのは附属病院の『ハーモニーハウス』。小児患者の家族が滞在できる宿泊施設の設計監理を担当しました。日々の主な業務は、大学構内の設備保全。「男性の仕事というイメージがあるかもしれませんが、設備の不具合などの連絡を受けると、安全靴やヘルメットを装着し、大学構内のあちこちへ」。ある日は高所作業車に乗り、電気工事に立ち会うことも。“電気を使える毎日”は、中川さんのような技術者が支えていました。

省エネ改修費を捻出する仕組を発案

電気設備の設計技術者だった中川さんですが、2016年度には“制度のデザイン”にも携わることになりました。三重大学は2016年度に、「今後6年間でエネルギー消費量を6%以上削減することを目標に定める」と発表。「節電を呼びかけるだけでは達成困難な数字です。老朽化した設備を省エネ設備に更新する必要がありましたが、その予算がありません」。そこで中川さんは、新しい仕組『三重大学省エネ積立金制度』を提案。各部局から光熱費使用料金の5%を設備改修費として徴収しようと考えました。中川さんの企画は学内で正式採用され、動き始めましたが、すぐに困難が立ちはだかりました。

私流リーダーシップ

リケジョ流解決法、既存の制度を徹底研究

中川さんらは、学長・学部長・研究科長・病院長らに説明して回りましたが「もう、それは厳しい反応で」と当時を振り返ります。反発の理由は、省エネ以外でも修繕が必要な設備が多くあること。研究を推し進めるにはエネルギーが不可欠で、節電は難しいこと。「時には『研究をやめさせる気か?』と詰め寄られ、“ヒー”と逃げ帰ることも」。そこで中川さんは、リケジョ目線で制度を見直すことに。あらゆる資料を読み深めると、環境省など他省庁の補助金制度を活用できそうなことが判明しました。これにより各部局から徴収した積立金に、外部資金を上乗せして再配分する仕組が誕生。合意困難と思われた2016年度中に、企画は合意に達しました。

ESCO新事業の幕開け。環境先進大学に前進

今回“省エネ6%”に苦戦した理由に、三重大学がすでに省エネ先進大学だったことが挙げられます。大学は2011年度に『スマートキャンパス事業』をスタート。構内で風力・太陽光発電などが始動しました。並行してスマホで貯める節電ポイント制度も始まり、学生も楽しく節電に参加します。2017度には、三重県初『地域環境保全功労者表彰』環境大臣賞も受賞。『三重大学省エネ積立金制度』では、『スマートキャンパス事業』に次いで、学内2号目の『ESCO(Energy Service Company)事業』が実施されます。中川さんらが作った新制度を利用し、学生・教職員約1万人が“世界に誇れる環境先進大学”を創造します。

社外メンターとして

お話&アドバイスできる内容

■仕事と家庭の両立
■育ボス
■省エネルギー・ESCO事業

こんな講演・相談に対応できます

■『三重大学省エネ積立金制度』紹介
■省エネ・ESCO事業の大学導入事例
■産休・育休中の資格取得ポイント
■子育て世代に優しい社内環境作り

所属事業所概要

国立大学法人三重大学
三重県津市栗真町屋町1577
http://www.mie-u.ac.jp/
教職員数:1,824名

私の癒し

趣味はスイミング。市内のスポーツジムで泳いで気分をリフレッシュしています。癒しの時間は、三重へ転居してからできた女子友達との、気のおけないワイン会。そして何より一番の元気の素は家族旅行です。小学生の息子2人は、元気が有り余っています(笑)。

2018年8月 取材

インタビュー概要PDFはこちらから>>