61歳で起業!農家のお母ちゃんがレストラン経営者に

2018年10月17日
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松倉 敬子さん / KEIKO MATSUKURA

株式会社真夢農和(まむのわ)(松阪市)
代表取締役
業種:農家レストラン

PROFILE

21歳で結婚してから、“農家のお母ちゃん”一筋。夫は3軒のお茶農家直営のお茶屋『深緑茶房』を創業。ともに生産茶葉を数々の受賞に導いた。事業を子世代に譲った2011年、新たなやりがいを求めて農家レストランを発案。近隣農家7軒との共同出資で、2013年に『真夢農和(まむのわ)』をオープン。代表取締役として“農家のお母ちゃん”のリーダーとなり、店を切り盛りする。新鮮野菜のランチが人気。

私の使命

子育て終えて、憧れだった夢に挑戦!

平均年齢は64歳。専業農家の“お母ちゃん(Mom/マム)”が丹精込めた手作りランチが大人気の自然派レストラン『真夢農和(まむのわ)』は、他県の農業経営者・農業政策関係者からも熱い注目を集めています。代表の松倉さんは、日本茶農家のお母ちゃん。2013年に61歳でレストランを創業したきっかけを「農業の主力を子世代に譲り、日々のやりがいを失ったから」と振り返ります。松倉さんの周りには、お茶農家をはじめ、米/野菜/卵/果物など、同世代の農家仲間が多数。「隠居生活で、テレビの前がいつもの席。こんな生活をこの先ずっと送るの?!と想像したら悪寒がした。新しいやりがいを見つけたかった」と振り返ります。

仲間の新鮮野菜が味方。県外の産直品も

松倉さんは21歳で結婚して以来、農業一筋。「もちろん経営は初めて」。レストラン構想を農業仲間に話すと、「『実は私もカフェをやってみたかった』と、ひとりが手を挙げてくれました」。さらに出資を申し出る仲間も現れ、農家7軒の共同事業としてスタート。主力商品は、松倉家がつくる『深緑茶房』の緑茶と、近隣農家の採れたて農産品。営業中に野菜が足りなくなると、電話して即座に収穫野菜を持ち込んでもらうことも。さらにメンバーの家族が声かけをし、全国の農家仲間も協力してくれることになりました。北海道のアスパラ、青森のゴボウ、長野のトウモロコシなど、どれもスーパーではお目にかかれない大きさ・太さの品で、素材の良さが光ります。

私流リーダーシップ

メンバーが力合わせ“できること”を提供

共同出資した7軒の農家は、それぞれが“できること”をレストランに提供しています。例えば、料理の腕を活かし厨房に立つ人、卵・果物などの農産品を納入する人など。飲食店営業に必要な『食品衛生責任者』資格は、7人みんなで取得しました。松倉さんはリーダー役と、店周辺の土地造成・建物の修繕を担当。「農家はどこも昔から、山を開墾して、納屋を建て、棚を作り付け、全部自分で切り拓いてきました。だから農家は何でもできるんです。重機の扱いは慣れたもの」。皆で一つの事業を維持するために、作ったルールはたった一つ。「不満がある人は、大きな声で言う」。長い付き合いの中で育んだ、メンバー同士の“あうんの呼吸”で歩んでいます。

輝くプラチナ世代「私達は今もイケイケ!」

店は年々ランチ数を増やすほどの盛況ぶりですが、経営は「正直大変。難しい。借り入れてばっかり」という松倉さん。創業メンバーのひとり、農業経営者の大西さんは資金面から店を支えます。「私にとって、店は大切な安らぎの場。なくなると困るでなァ」。ほかにも店の繁忙期と見ると、どこからか手伝いに来る“ご近所さん”も。さまざまなシニア層が、それぞれに松倉さんらの様子を気にかけている様子。店がTVで紹介されると、その傾向は一層顕著になるそう。「三河安城から自転車に乗って、70歳の女性が激励に来て下さったことも!」。第二の人生もアクティブに。「私達イケイケやもんね!」と自信たっぷりに笑う姿が印象的でした。

社外メンターとして

お話&アドバイスできる内容

■起業
■仕事と家庭の両立

こんな講演・相談に対応できます

■六次産業の取組事例
■プラチナ・シニア世代の起業
■農家女性の“生きがい”創出
■自身の育児・農業の紹介

所属事業所概要

株式会社真夢農和
三重県松阪市久保町1821-33
社員数:10名

私の癒し

海外旅行が大好きです! 社員と一緒に積み立てをして、ある年はハワイに行きました。また気の合う仲間と去年はラスベガスに、今年はニュージーランドへ行きます。もう60カ国ぐらい旅をしたかな。一人旅ではなく、みんなで楽しく。店と同じように、いつの間にか役割が分かれます。
2018年8月 取材

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