NHKキャスターから転身!“自分で売り込む”伝統工芸職人へ

2018年10月17日
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梶浦 明日香さん / ASUKA KAJIURA

『常若』【三重県で活躍する若手職人のグループ】(四日市市)
リーダー
業種:伝統工芸職人

PROFILE

元NHK名古屋放送局・津放送局キャスター。取材を通じて伝統工芸の魅力と危機に触れ、転身を決意。2010年に伊勢根付職人の中川忠峰氏に弟子入り。2018年にはロンドンのアート展『DISCOVER THE ONE JAPANESE ART IN LONDON』で大賞を受賞。技術を磨きながら、日本の伝統工芸振興に力を注ぐ。伝統工芸の若手職人グループ『常若』や『凛九』を結成し、各地で展示会やワークショップを開催中。

私の使命

日本の“三重の”伝統工芸を未来に繋ぎたい

梶浦さんが三重県の伝統工芸品・伊勢根付に心奪われたのは、NHKのキャスター時代。東海地方各地の伝統工芸を番組でリポートしていた時でした。「伊勢根付の彫りの美しさと、モチーフに込めた粋な遊び心を知りました」。どの取材先でも後継者不足に悩む声を聞き、梶浦さんも次第に伝統工芸存続の危機感を募らせたといいます。思案の末、伝統工芸職人に転身。国際根付彫刻会前会長の中川忠峰氏に弟子入りし、約9年が経ちました。2018年にはロンドンで開催された日本発のアート公募展『DISCOVER THE ONE JAPANESE ART IN LONDON』に根付作品を出品。約200点もの作品の中から、見事大賞に輝きました。

リポーター時代の“伝える技術”を活かす

「前職のおかげで視野が広がりました。“伝統工芸の未来のため、今の私に何ができるだろう?”と考えた末、やはり私にできるのは“伝える”ことだと思いました」。弟子入り2年目の2012年には、浴衣の着こなしや所作の美しさを競う『ゆかたキレイコンテスト』に出場。梶浦さんの目的は、浴衣に根付を合わせる提案でした。この提案が大いに受け、梶浦さんはグランプリを受賞。以降、国内外の着物ショーに招待され、各地で根付の魅力をPRしました。取組は各種SNSでも発信し、情報の拡散を狙います。「師匠が今も元気に現場を守って下さるので、私は色んなチャレンジができます。前例のない事にも挑戦して、“今できること”に邁進中です」。

私流リーダーシップ

職人を町へお届け。若手達で出張教室

2012年には、県内の若手職人6人で『常若』を結成。「当時の主な活動は“集まっておしゃべり”でした。職人は孤独です。特に若手には横の繋がりがありません。けれど私は取材を通じて、どこに若手職人がいるか知っていたんです」。結成においては梶浦さんが声を掛けて回りました。『常若』は高齢化が進む伝統工芸界に現れた新星として、注目を浴びることに。「SNSを通じてワークショップの依頼が来ることもありました。『職人さんって、思った以上に気さくなんですね』なんてお声をいただくことも」。“出前OK!”の身近な職人として、メンバーは県内企業や学校などを訪れ、伝統工芸の魅力を伝えるワークショップを開催しています。

夢を語り合い、念願の海外進出も!

伊勢根付/伊勢型紙/伊勢一刀彫り/漆芸の各分野の職人達が集まる『常若』。多忙なメンバーですが、心通わせる時間を大切にしています。「交流にはSNSを活用しています。次の企画についてなど、楽しい夢の話をして盛り上がっていますよ」。2017年には、6年越しの夢が叶いました。それは伝統工芸を海外の人に伝える活動。マレーシア、香港、ベトナムでワークショップを実施し、「自分達の技術や作品が海外でも受け入れられると肌で感じました」。2017年、梶浦さんは東海地方の若手“女子”職人9人で『凜九』も結成。ここでも新しい風を呼び起こそうと奮闘します。「動かなきゃ!」。職人と仕掛人の2役で、伝統工芸を未来に繋げます。

社外メンターとして

お話&アドバイスできる内容

■地域資源活用
■伝統工芸の振興・活性化

講演実績

2018年 三重大学「TEDxMieU 2018」ゲストスピーカー(TEDxMieU実行委員会)

こんな講演・相談に対応できます

■『常若』『凜九』の取組紹介
■三重県・愛知県の伝統工芸
■若手職人による工芸ワークショップ
■小さな団体の広報戦略

所属事業所概要

『常若』【三重県で活躍する若手職人のグループ】(三重県四日市市)
三重県四日市市
http://asukanetsuke.wixsite.com/netsuke
メンバー:6名

私の癒し

癒しの時間……今の私には必要ないかも。その代わり新しい刺激を受けることが大好き! 挑戦が、私にとっての元気の源です。最近もっとも刺激的だったことは、ロンドンで初めて体験した日本アートの公募展です。大賞に選んでいただき大興奮しました!

2018年8月 取材

インタビュー概要PDFはこちらから>>