災害に備えて、生きる“根っこ”を育む防災料理教室

2019年1月27日
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大須賀 由美子さん / YUMIKO OSUGA

だんだんキッチン代表(多気郡多気町)
防災士
業種:子ども料理教室の運営・防災講座の開催等

PROFILE

阪神淡路大震災を経験し、自然の脅威の前に人間の無力さを思い知る。2015年、移住先の多気町で「人は何があっても生きていかなくてはならない」「みんなで助かりたい」と、防災講座「ソナエノゴハン®」を開催。独自レシピや料理実演を織り交ぜた「備えたくなる」講座が好評で、以後県内外で実施中。4歳からの子ども料理教室「だんだんキッチン」も人気。キッズキッチン協会認定インストラクター、防災士。明石市出身。2児の母。

私の使命

子どもの根っこ、防災の根っこ。人気の2教室

2014年から子ども料理教室『だんだんキッチン』を開講。2015年からは防災講座『ソナエノゴハン®』も始めた大須賀さん。「人は誰しも、何があっても生きなきゃいけない。だから生きる力をつけてもらえたら」と、教室への思いを語ります。大須賀さんが強い思いに駆られる理由は、1995年まで遡ります。「1月17日、職場があった神戸の街が一変しました。阪神淡路大震災でした。あの時感じた恐怖や無力感は、今も感じ続けています。そして今は何より守りたい娘達がいます。どうやったらこの子達を守れるのか、それがスタートでした。誰にとっても大切な人がいます。助かる命が少しでも増えるよう、講座に取り組んでいます」。

家庭の調理器具+食材で災害を生き延びる

『ソナエノゴハン』には、大須賀さんの切なるメッセージが込められていますが、講座は和やかに進みます。例えば鍋で炊くご飯。初めての人も気軽に炊けるよう説明・実演します。「鍋はホームセンターにあるもので十分。音だけで沸騰したかの判断なんて、私でも難しいです。ちらっと蓋をとっても大丈夫」。そんな一言に笑いが起きることも。講座で使うのは身近な食材。「普段の食卓と防災が地続きになった、新しい生活防災スタイルを作りたいんです。それが備えの“根っこを育む”に繋がると思っています」。防災意識を広げる一つの方法として、身近な食を切り口に。『ソナエノゴハン』では、大須賀さんのアイデアによるさまざまな工夫が見てとれました。

私流リーダーシップ

地域性に寄り沿う啓発法を模索

町内の15名から始まった『ソナエノゴハン』。やがて他の自治体や県外企業からも講座依頼が来るようになり、2年間で24回に。「多気町への移住をきっかけに、教室にチャレンジしてみようという気になれたんだと思います」。夫の転勤に伴い家族で三重県に転居した大須賀さん。朗らかな風土に魅了され、永住を決めました。「皆さんとても温かく、日々は穏やか。災害なんて想像もつかない。でもそれでは命を守れません」。備える気になるような伝え方を模索し生まれたのが、料理を切り口にした「ソナエノゴハン」です。「習慣化するのって難しい。少しでも浸透するように、そのためには、まずは耳を傾けてもらえるように考えました」。

知識を更新しながら“目配り”も大切に

大須賀さんが“教える”原点は、我が子の誕生にあります。「我が子に生きる術を伝えたいと、料理研究家の坂本廣子先生から食育を学びました。教えていただいた心構えや技術が『だんだんキッチン』に活かされています」。これまでに『だんだんキッチン』で食育体験を伝えた子ども達の数は、のべ2,000人。『ソナエノゴハン』の開講を機に、防災士の資格も取得しました。現在は三重県と三重大学による『みえ防災塾』を受講中。「娘たちが通うダンス教室の先生からも、言葉の選び方、やる気の引き出し方など、学ぶことが沢山あります」。親としての眼差しと、率先者としての知識。2つの両輪で、人々の背中を優しく押すような料理体験を考え続けます。

社外メンターとして

お話&アドバイスできる内容

■防災
■食育

講演実績

2018年 パパと子のソナエノゴハン(フレンテみえ)
2018年 ソナエノゴハン(東邦液化ガス株式会社 三重支店)
2018年 防災食クッキング(伊勢市)

こんな講演・相談に対応できます

■災害時にも使えるポリ袋調理
■乾物や缶詰を活用した防災料理
■子どもの生きる力を育む料理体験
■防災と食育に関する各種講演

所属事業所概要

だんだんキッチン
三重県多気郡多気町波多瀬1070-5
http://dandan-kitchen.com
社員数:1名

私の癒し

2人の娘を思って始めた料理教室。小学生になった娘達は、今では私の料理教室で一番頼れる助手に育っています。この子達と笑っている時間が一番幸せです。もちろん、腹立つ時もあります(笑)。

2018年11月 取材

インタビュー概要PDFはこちらから>>